「農業を始めたいんだけど、けっこういい年齢だしな・・・」と思っていませんか?
そんな方々に向けて、この記事では、農業に始めるにあたって最適な年齢について掘り下げて解説しています。さらに、農業未経験の人が、農業そのものが自分のあっているのかを見極める方法についても紹介しています。
■農業の始め方
農業とひと口に言っても、職業としての農業と、趣味としての農業の2種類があります。この記事では前者の「職業としての農業」を前提として話をすすめていきます。
「職業としての農業」を始める方法には大きく以下の4パターンがあります。
1.親元就農
親、祖父、親戚、親族が農家の場合、その親元に入って就農するやり方です。身内に農家の人がいる場合には強い選択肢になります。しかし、逆に身内に農家の人がいない場合には難しいやり方です。
2.雇用独立就農
農業法人に入り、研修を受けたのちに、その農業法人に就職、その後、1~3年後に独立するやり方です。農業法人とは、農業ビジネスを基軸とした株式会社のようなものです。
3.農業専門学校
農業専門の大学や専門学校で学んだ後に就農するやり方です。
4.半農半X
生活の半分を農業、半分を自分の得意な仕事をする、いわゆる兼業農家のことです。1~3と大きく違うところは、農業以外の仕事から収入を得つつ、農業に取り組めるという点です。
■農業を始める年代別の有利性
農業を始めるにあたって、年代ごとに何が有利なのかを見ていきましょう。
20代
体力面で一番有利な世代。
とはいえ資金がほとんどないので、「1.親元就農」や「2.雇用独立就農」があっています。
30代
体力、資金のバランスが良いが時間的に忙しい世代です。
「1.親元就農」「3.農業専門学校」で、少ない時間で技術を習得していくやり方があっています。
「4.半農半X」で自分のペースを保って始める方法もおすすめです。
40代
体力、資金、時間のバランスが一番いい世代。
「1.親元就農」~「4.半農半X」のどのやり方もあっています。
本格的に農業を始めるなら「2.雇用独立就農」「3.農業専門学校」、自分のペースに合わせて始めるなら「1.親元就農」「4.半農半X」です。
50代以上
資金、時間の面で有利な世代です。人生経験が豊富なことも有利な側面です。
体力的に自信があるのであれば「2.雇用独立就農」です。
自分の体力に合わせて始めるなら「3.農業専門学校」か「4.半農半X」になります。
コストはかかるものの、うまく機械化を取り入れることで、体力面の不安は解消できます。
■農業を始めた人の実態は何歳なのか?
農林水産省が毎年まとめている「新規就農者調査」という統計情報があります。
これによると平成30年の調査結果は以下のようになっています。
平成30年度調査 | 44歳以下(人) | 44~49歳(人) | 50歳以上(人) | 計 |
---|---|---|---|---|
(A)新規自営農業就農者 | 7710 | 2160 | 32880 | 42750 |
(B)新規雇用就農者 | 6330 | 730 | 2760 | 9820 |
(C)新規参入者 | 2100 | 260 | 880 | 3240 |
合計 | 16140 | 3150 | 36520 | 55810 |
割合 | 28.9% | 5.6% | 65.4% | 100.0% |
(A)新規自営農業就農者、(B)新規雇用就農者、(C)新規参入者の違いは、
(A):家族経営体の世帯員で、「学生」から「自営農業への従事」になった人、と、「他に雇
われて勤務が主」から「自営農業への従事が主」になった人
(B):農業法人等に農業に従事することとなった人
(C):土地や資金を独自に調達し、新たに農業経営を開始した人
これだけを見ると、圧倒的に50歳以上の新規就農者が多いように見えますが、実態は違います。
なぜなら、「(A)新規自営農業就農者」には、『「他に雇われて勤務が主」から「自営農業への従事が主」になった者』の人数が含まれているからです。
つまり、(A)新規自営農業就農者には、元々兼業農家として農業に携わっていた人が、なんらかのタイミングで専業農家となった場合の人数が含まれます。
そのため、(A)新規自営農業就農者を除いて考える方が、より農業未経験が就農した人数を捉えられるのです。
(A)を除いた、(B)新規雇用就農者、(C)新規参入者に絞った表が以下の通りです。
(B)+(C)に絞った統計 | 44歳以下(人) | 44~49歳(人) | 50歳以上(人) | 計 |
---|---|---|---|---|
(B)+(C)合計 | 8430 | 990 | 3640 | 13060 |
(B)+(C)割合 | 64.5% | 7.6% | 27.9% | 100.0% |
これを見ると、農業未経験が就農した人数は、7割以上の人が49歳以下で、50歳以上の人が3割程度ということになります。
■農業を始める最適年齢とは?
では、農業を始める一番最適な年齢は、いったい何歳なのでしょうか?
農業を始める適正年齢は?
資金、自由に使える時間、経験、その他の条件は人それぞれ違います。
さらに、農業を始めたいという本気度も人それぞれ違います。
ですから、一概に農業を始める年齢は〇〇歳が適正です、などとは言えないのです。
むしろ、やる人本人が、農業を始めたい!と心から思ったタイミングが一番適正なときなのです。
■本当に自分にあっているか不安な場合
農業を始めたい気持ちはあっても、農業が本当に自分にあっているのか不安な場合があります。
農業は、農業の知識・経験はもちろん必要ですが、生活を成り立たせる経営的な知識も必要で、何より自然の摂理と向き合う心構えも必要となります。
なので、まったく農業を経験していない人がいきなり就農を目指すのではなく、趣味としての農業を始めてみることがおすすめです。
趣味として農業とは、たとえば、ベランダでプランターで野菜を育てて見る、小さな畑を借りて野菜を育てて見る、といったことです。
ミニマムなリスクの少ない環境で実際に農業に取り組み、自分にあっているのかを見極めるのです。
農業により近い趣味として、ベランダ菜園よりも小さな畑をレンタルする方がおすすめです。
畑のレンタルは、都内であっても小さな畑を借りられるサービスとして農業アドバイザーがいる「シェア畑 」がおすすめです。