市民農園と貸し農園の違いとは?

市民農園 貸し農園 違い レンタル畑活用術
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市民農園と貸し農園の違いはどんなところにあるのでしょうか?

「市民農園」は市区町村の行政が運営し、市民に野菜栽培用の畑を貸している農園です。

対して「貸し農園」は民営や民間企業が運営し、個人向けに畑を貸しているレンタル農園サービスのことを指しています。

市民農園と貸し農園の違いは、料金や借りられる畑の広さ、受けられるサービス、種・苗・道具、駐車場・トイレ・休憩スペース…など、いろいろな違いがあります。

この記事では、市民農園と貸し農園にどんな違いがあるのか詳しく掘り下げて、どんな人が市民農園に向いていて、どんな人が貸し農園に向いているのかを解説しています。

ぜひ、農園選びの参考としてみてください。

市民農園と貸し農園の違い

「市民農園」は、主に市区町村の行政が運営し、市民向けに野菜栽培用の畑を貸し出す農園のことを指しています。

市民農園は、お住まいの市区町村のホームページや、農林水産省のホームページで市民農園のリストを確認することができます。

ただし、市区町村によっては市民農園が存在しないケースもあります。ほかに、行政が運営している農園がないために、行政のホームページにて民営の農園を紹介しているケースもあります。

市民農園の特長は以下のとおりです。

市民農園の特長
  • 市区町村の行政が運営している農園を指す場合が多い。
  • 料金が比較的安く、広めの区画を借りることができる。
  • 貸してもらえる期間は1年で、応募多数の場合は翌年の継続借用が無理なケースもある。
  • 貸出の開始は4月で、翌年2月まで(実質11ヶ月)が多い。
  • 借りるのは「畑」だけ。種苗・道具・栽培計画などすべて自分で考えておこなう。
  • 自由作付と言って、野菜であれば自由に栽培できる。
  • 大きめの農耕具は農園によっては譲り合いながら使える場合もあるが、原則は自分で自分が使うものを購入し持ち込んで使う。
  • 農園管理人さんに多少の野菜の育て方を教えてもらうことはできるが、事細かには教えてもらえないケースもある。(原則はすべて自分で考えて実行する)
  • 往復はがきでの申し込み等、申込手続きがやや面倒な場合が多い。
  • 募集期間が年に1回、募集時期が狭く、抽選にはずれた場合は借りられない。

一方、「貸し農園」「レンタル農園」「レンタル畑」「体験農園」などと呼ばれる農園は、民間の会社が運営するレンタル農園サービスです。

民間・民営のレンタル農園サービスはたくさんあり、関東・関西のエリアでは、「シェア畑」や「マイファーム」などのレンタル農園サービスがあります。

民営のレンタル農園の特長は以下のとおりです。

民営の農園の特長
  • 無農薬、無化学肥料で野菜を育てることができる。
  • 保管や持ち運びが面倒な農耕具が整備されていて、手ぶらで通うことができる。
  • 種、苗は料金に含まれていて自分で用意する手間がない。
  • 連作障害といった難しいことを自分で考えなくていい。
  • 農園アドバイザーさんがいて、事細かく教わりながら野菜を育てることができる。
  • 休憩スペースや野菜洗い場の設備が充実している。
  • 原則1年間の契約になる。契約を更新すれば同じ場所を借り続けられる。
  • 空いていれば、1年のうちいつからでも借りることができる。

行政の運営する市民農園は、安い反面、利用者にとっての使い勝手は良くはありません。

一方で、民営の貸し農園は、料金が高い分、利用者にとっての使い勝手はいろいろと工夫されています。

そのため、単に安く畑を借りることが目的ではなく、野菜栽培の知識を身につけたい農業に関わる専門家から教わりたい野菜づくりにチャレンジしたい、などという目的の場合は、どちらが合っているのかを慎重に判断したいところです。

そこで、もう少し掘り下げて、市民農園と民営の貸し農園の違いを比較してみました。

市民農園民営の貸し農園
料金安い高い
広さ広い傾向やや狭い傾向
農園の立地にもよる
中心地は狭く、郊外は広い傾向
道具基本的にすべて自分で
買い揃える
大きめの農耕器具は
設置(忘れ物?)し
てあることもある
農園に設置してあり
皆で共有して使う
種・苗基本的にすべて自分
で買い揃える
農園によって、農園ですべて準備
してくれるタイプと、自分で買い
揃えるタイプがある
農薬市販のものなら化学
農薬でも使ってよい
ことが多い
除草剤は不可が多い
化学農薬は不可
天然由来のものを使う
肥料市販のものなら化学
肥料でも使ってよい
ことが多い
化学肥料は不可
有機肥料のみを使う
管理人農園によるいる
(アドバイザーと兼務が多い)
アドバイザー原則いないが、管理人
が野菜の育て方を教え
てくれる場合もある
いる
野菜の育て方などなんでも教えて
もらえる
(管理人と兼務が多い)
講習会ないある
種まき、お世話、収穫のタイミン
グなどで講習会が開かれる
教本・テキストないある
野菜の育て方がまとめられたテキ
ストが配布される
動画による説明ないあったり、なかったり
連作障害の防止基本的にすべて自分で
考える
農園からの指示どおりに植えれば、
連作障害を避けた植え方になる
自分で用意した種・苗を植える場
合は、自分で考える
畑に要する時間多め
特に未経験者の場合、
自分で調べたり、考え
たりする時間もあるの
で、かなり多くの時間
を要する
少なめ
種・苗、道具、肥料はすべて揃って
いるため、野菜栽培のみに専念でき

週1回でも運営できるが、繁忙期
は週に2~3回が理想的
植え付けの
自由度
高い
育てたい野菜、使いた
い肥料、道具すべて自
低い
ある程度の野菜の種、苗は決めら
れた中から選ぶ
ただし、自分で購入した種・苗を
育てることも可能
駐車場ない方が普通
道ばたに路駐できる
場合もある
都心、駅近でなければ基本ある
駐輪場ない方が普通
道ばたに路駐
基本ある
トイレない方が普通ある方が普通
水場あるがジョーロに水を
汲むための簡易な設備
ジョーロに水を汲む以外に
野菜や道具を洗う洗い台が
設置されている
ゴミすべて自分で持ち帰り使い終わったマルチなど、
農園の野菜栽培で出たゴミ
は捨てられる場合が多い
野菜くずはたい肥置き場に
捨てる
休憩スペースないある方が普通
イベントないある
初心者向きか野菜を一度も育てたことが
ない場合は難しい
ある程度の経験者向き
初心者向き
経験者の場合もサービス面に
メリットを感じて継続してい
る人はたくさんいる
立地郊外中心地と郊外の両方に点在
バーベキュー設備ないない方が普通だが、農園に
よってはある場合もある
宿泊施設ない郊外にある体験型農園の場
合は宿泊施設が備わってい
る農園もある
畑がレンタル
できる期間
3月~翌年2月まで、
4月~翌年3月まで、
など1年間が多い。
利用期間が3年間に
しばられる地域もある。
空いている区画があれば、
何月からでもレンタル可能
通常は1年間ごとの契約。
1年経つと契約更新。

市民農園に向いている人

市民農園のメリットはこの3つです。

  • 畑のレンタル料金が安い
  • 料金が安い割に広い畑が借りられる
  • なんでも自由に自分の思い通りに作付けできる

市民農園は、畑にかけられる時間にゆとりがあり、種や苗、道具、栽培方法を自分で調べて自分の思う通りに進めたい人にぴったりです。

さらに、低い料金で広い畑を借りたい人に向いています。

ただし、今までに野菜栽培の経験がひとつもないと、調べたり、考えたりすることが多くなってきますので、けっこう大変だと思います。

特に、広い畑で、育てる野菜の種類・品種も数多くしたい場合は、本当にやることが多くて大変です。

たとえば、野菜の種まきをひとつとっても

  • 点まきか筋まきか?
  • 土の厚みは何センチか?
  • マルチは必要か?
  • 肥料は何をどれくらい入れるのか?
  • 防虫ネットは必要か?
  • 不織布は必要か?

など、ちゃんと発芽させるために考えるポイントが実はたくさんあります。

そのため、市民農園は野菜栽培の経験がある人の方がやりやすくなってきます。

市民農園に向いていると言えるのはこんな人です。

  • 広めの畑で、野菜の収穫量を多くしたい人
  • 年間を通して畑にかけられる時間を多く取れる人
  • 育てる野菜を自分で自由に決めて作付けしたい人
  • 種、苗、畑の道具を自分で購入して揃えてみたい人
  • 野菜栽培でわからないことは自分で調べて解決できる人
  • 畑のゴミ処理・道具の手入れまでも苦でない人

貸し農園が向いている人

民営の貸し農園のメリットはこの3つです。

  • 野菜の種、肥料、道具が農園にあるので自分で用意しなくていい
  • アドバイザーさんやテキストから効率よく野菜栽培の知識を得られる
  • 畑にかける時間を野菜栽培の楽しいところに集中できる
  • 無農薬・有機野菜の作り方を体験できる

民営の貸し農園は、普段忙しくてあまり時間がないものの、野菜栽培について効率よく習得したい人にぴったりです。

特に、これまでに野菜を育てた経験がなくて、なにから手をつければいいのか悩んでしまう人におすすめです。

無農薬野菜や有機野菜に興味があり、それらの育て方や、栽培するための土づくり・環境づくりに興味がある人にもおすすめです。

民営の貸し農園に向いている人はこんな人です。

  • 野菜栽培について効率よく習得していきたい人
  • 忙しくて畑にかける時間をあまり多く取れない人
  • 無農薬野菜、有機野菜の作り方を学びたい・食べたい人
  • 農園で休憩したり自分のペースで取り組みたい人
  • 年間の栽培計画、連作障害対策などの難しい事は考えれない人
  • 野菜栽培をある種のレジャー感覚で、楽しんで取り組みたい人

まとめ

市民農園と貸し農園の違いとは?
  • 市民農園と貸し農園の違いは、料金・広さ・アドバイザー・道具…など多種多様な違いがあります。
  • 市民農園は料金が安い反面、畑に関する事はすべて自分で判断、行動する必要があります。
  • 民営の貸し農園は野菜栽培に集中でき、効率よく習得できたり、無農薬・有機野菜の知識を得ることができます。