市民農園と貸し農園の違いはどんなところにあるのでしょうか?
「市民農園」は市区町村の行政が運営し、市民に野菜栽培用の畑を貸している農園です。
対して「貸し農園」は民営や民間企業が運営し、個人向けに畑を貸しているレンタル農園サービスのことを指しています。
市民農園と貸し農園の違いは、料金や借りられる畑の広さ、受けられるサービス、種・苗・道具、駐車場・トイレ・休憩スペース…など、いろいろな違いがあります。
この記事では、市民農園と貸し農園にどんな違いがあるのか詳しく掘り下げて、どんな人が市民農園に向いていて、どんな人が貸し農園に向いているのかを解説しています。
ぜひ、農園選びの参考としてみてください。
市民農園と貸し農園の違い
「市民農園」は、主に市区町村の行政が運営し、市民向けに野菜栽培用の畑を貸し出す農園のことを指しています。
市民農園は、お住まいの市区町村のホームページや、農林水産省のホームページで市民農園のリストを確認することができます。
ただし、市区町村によっては市民農園が存在しないケースもあります。ほかに、行政が運営している農園がないために、行政のホームページにて民営の農園を紹介しているケースもあります。
市民農園の特長は以下のとおりです。
一方、「貸し農園」「レンタル農園」「レンタル畑」「体験農園」などと呼ばれる農園は、民間の会社が運営するレンタル農園サービスです。
民間・民営のレンタル農園サービスはたくさんあり、関東・関西のエリアでは、「シェア畑」や「マイファーム」などのレンタル農園サービスがあります。
民営のレンタル農園の特長は以下のとおりです。
行政の運営する市民農園は、安い反面、利用者にとっての使い勝手は良くはありません。
一方で、民営の貸し農園は、料金が高い分、利用者にとっての使い勝手はいろいろと工夫されています。
そのため、単に安く畑を借りることが目的ではなく、野菜栽培の知識を身につけたい・農業に関わる専門家から教わりたい・野菜づくりにチャレンジしたい、などという目的の場合は、どちらが合っているのかを慎重に判断したいところです。
そこで、もう少し掘り下げて、市民農園と民営の貸し農園の違いを比較してみました。
市民農園 | 民営の貸し農園 | |
---|---|---|
料金 | 安い | 高い |
広さ | 広い傾向 | やや狭い傾向 農園の立地にもよる 中心地は狭く、郊外は広い傾向 |
道具 | 基本的にすべて自分で 買い揃える 大きめの農耕器具は 設置(忘れ物?)し てあることもある | 農園に設置してあり 皆で共有して使う |
種・苗 | 基本的にすべて自分 で買い揃える | 農園によって、農園ですべて準備 してくれるタイプと、自分で買い 揃えるタイプがある |
農薬 | 市販のものなら化学 農薬でも使ってよい ことが多い 除草剤は不可が多い | 化学農薬は不可 天然由来のものを使う |
肥料 | 市販のものなら化学 肥料でも使ってよい ことが多い | 化学肥料は不可 有機肥料のみを使う |
管理人 | 農園による | いる (アドバイザーと兼務が多い) |
アドバイザー | 原則いないが、管理人 が野菜の育て方を教え てくれる場合もある | いる 野菜の育て方などなんでも教えて もらえる (管理人と兼務が多い) |
講習会 | ない | ある 種まき、お世話、収穫のタイミン グなどで講習会が開かれる |
教本・テキスト | ない | ある 野菜の育て方がまとめられたテキ ストが配布される |
動画による説明 | ない | あったり、なかったり |
連作障害の防止 | 基本的にすべて自分で 考える | 農園からの指示どおりに植えれば、 連作障害を避けた植え方になる 自分で用意した種・苗を植える場 合は、自分で考える |
畑に要する時間 | 多め 特に未経験者の場合、 自分で調べたり、考え たりする時間もあるの で、かなり多くの時間 を要する | 少なめ 種・苗、道具、肥料はすべて揃って いるため、野菜栽培のみに専念でき る 週1回でも運営できるが、繁忙期 は週に2~3回が理想的 |
植え付けの 自由度 | 高い 育てたい野菜、使いた い肥料、道具すべて自 由 | 低い ある程度の野菜の種、苗は決めら れた中から選ぶ ただし、自分で購入した種・苗を 育てることも可能 |
駐車場 | ない方が普通 道ばたに路駐できる 場合もある | 都心、駅近でなければ基本ある |
駐輪場 | ない方が普通 道ばたに路駐 | 基本ある |
トイレ | ない方が普通 | ある方が普通 |
水場 | あるがジョーロに水を 汲むための簡易な設備 | ジョーロに水を汲む以外に 野菜や道具を洗う洗い台が 設置されている |
ゴミ | すべて自分で持ち帰り | 使い終わったマルチなど、 農園の野菜栽培で出たゴミ は捨てられる場合が多い 野菜くずはたい肥置き場に 捨てる |
休憩スペース | ない | ある方が普通 |
イベント | ない | ある |
初心者向きか | 野菜を一度も育てたことが ない場合は難しい ある程度の経験者向き | 初心者向き 経験者の場合もサービス面に メリットを感じて継続してい る人はたくさんいる |
立地 | 郊外 | 中心地と郊外の両方に点在 |
バーベキュー設備 | ない | ない方が普通だが、農園に よってはある場合もある |
宿泊施設 | ない | 郊外にある体験型農園の場 合は宿泊施設が備わってい る農園もある |
畑がレンタル できる期間 | 3月~翌年2月まで、 4月~翌年3月まで、 など1年間が多い。 利用期間が3年間に しばられる地域もある。 | 空いている区画があれば、 何月からでもレンタル可能 通常は1年間ごとの契約。 1年経つと契約更新。 |
市民農園に向いている人
市民農園のメリットはこの3つです。
市民農園は、畑にかけられる時間にゆとりがあり、種や苗、道具、栽培方法を自分で調べて、自分の思う通りに進めたい人にぴったりです。
さらに、低い料金で広い畑を借りたい人に向いています。
ただし、今までに野菜栽培の経験がひとつもないと、調べたり、考えたりすることが多くなってきますので、けっこう大変だと思います。
特に、広い畑で、育てる野菜の種類・品種も数多くしたい場合は、本当にやることが多くて大変です。
たとえば、野菜の種まきをひとつとっても、
- 点まきか筋まきか?
- 土の厚みは何センチか?
- マルチは必要か?
- 肥料は何をどれくらい入れるのか?
- 防虫ネットは必要か?
- 不織布は必要か?
など、ちゃんと発芽させるために考えるポイントが実はたくさんあります。
そのため、市民農園は野菜栽培の経験がある人の方がやりやすくなってきます。
市民農園に向いていると言えるのはこんな人です。
貸し農園が向いている人
民営の貸し農園のメリットはこの3つです。
民営の貸し農園は、普段忙しくてあまり時間がないものの、野菜栽培について効率よく習得したい人にぴったりです。
特に、これまでに野菜を育てた経験がなくて、なにから手をつければいいのか悩んでしまう人におすすめです。
無農薬野菜や有機野菜に興味があり、それらの育て方や、栽培するための土づくり・環境づくりに興味がある人にもおすすめです。
民営の貸し農園に向いている人はこんな人です。